経理雇用とアウトソーシングの費用の違い
経理業務を誰かに任せるには、「経理担当者を自社で雇う」「外部にアウトソーシングする」という2通りがあります。経営者としてはどちらのほうが費用対効果は高いのかが気になるところです。そこで、今回は経理業務を任せるにあたってスタッフを雇用するケースとアウトソーシングするケースで費用などの違いについて比較します。
自分で経理をやっているけど大変、経理専属の従業員の採用を考えているという経営者の方必見です。
経理の一般的な年収相場
2021年現在、経理担当の正社員の平均年収は422万円です。
もちろん、給与に加えて社会保険料や福利厚生も負担しなければいけないので、1人あたり600万円ほどの人件費がかかる可能性があります。
派遣社員の平均時給は1,390円ですから、1日8時間労働、完全週休2日と考えると年間139万円ほどになります。それに加えて派遣会社への手数料も支払わなければいけません。
アルバイト・パートは最も安く時給は997円で、年間にすると100万円程度となります。
アウトソーシングサービスの相場
経理業務をアウトソーシングした場合、依頼する作業内容によって費用が変わります。たとえば記帳代行を月数件行う程度であれば月額数千円の範囲で収まる可能性もあります。
年末調整や税務申告に関わる業務を依頼するとなると特別料金が発生します。業務量や時期によって変動しますが、記帳代行や給与計算、出入金管理などの一般的な経理代行のトータルでの費用は月5~20万円ほどが大まかな相場と言えそうです。
下表に作業内容ごとに相場観についてまとめました。
自社の状況や依頼したい作業に応じてトータルでかかる費用を試算してみてください。
作業内容 | 費用 |
---|---|
記帳代行(仕訳入力) | 80~120円/件 |
給与計算 | 1,000~2,000円/人 |
年末調整 | 500~1,500円/人 |
請求代行 | 1,000~2,000円/件 |
売掛・買掛金管理 | 100,000~200,000円/月 |
支払代行(税金関連) | 1,000~2,000円/件 |
決算書(月次) | 15,000~50,000円/月 |
決算書(年次) | 100,000~300,000円/回 |
税務代理 | 4~150,000円/月 |
金額によってどんな違いがあるのか
前章のとおり、経理のアウトソーシングは作業内容あるいは依頼先の業者によって価格が大きく異なります。なぜこのような差が生じているのか?その理由を解説します。
経理は会社経営を左右する大きな要素です。ただ金額だけにとらわれて安い業者に飛びつくのではなく、費用の根拠をしっかり押さえた上で選びましょう。
安さが売りの業者にありがちな地雷ポイント
税務申告などの税金周りの業務は税理士、監査関連の業務は公認会計士の資格がなければ行えません。しかし、記帳代行や仕訳業務、出入金管理など、比較的難易度が低い業務に関しては資格がなくとも行うことができます。
税理士や公認会計士は難関資格であり、人件費も安くありません。費用が極端に安い業者は資格を持たないスタッフが作業を行って人件費を抑えているケースが多いです。
専門性に欠けるため作業過程でミスや勘違いが生じやすく、依頼者もそれに気づけず、誤ったまま税務申告などをしてしまう可能性もあります。格安業者に依頼すれば経費を抑えることはできますが、その分リスクが存在することも頭に入れておきましょう。
高単価であっても信頼できる業者に依頼するべき理由
記帳代行一つとってもどこかにミスがあると決算申告に大きな影響が及びます。
帳簿がいい加減なままの状態で税務署に提出してしまうと、再申告を求められたり税務調査に入られたりして、かえって余計な手間や出費がかかってしまうということにもなりかねません。
確かに有資格者が在籍している信頼性がおける業者は作業単価が高額になりがちです。しかし、後々トラブルが発生したときのことを考えると、最初から資格を保有していて信頼できる税理士や公認会計士に依頼をしたほうがトータルで見ればコストや手間を省略でき、費用対効果が高いと言えます。
また、専門家の視点で実務を行ってくれるので精度が高く、節税や経営に役立つアドバイスも期待できるので、料金以上の効果が得られる可能性もあります。
公認会計士・税理士事務所にお願いするメリット
やはり経理業務のアウトソーシング先として一番信頼性が高いのは公認会計士事務所や税理士事務所です。
「餅は餅屋」と言いますが、やはり専門家に依頼することで、格安業者よりも格段に質が高い仕事をしてくれ、かかるコスト以上のメリットを享受することができます。公認会計士・税理士事務所に経理業務をアウトソーシングする利点について、それぞれ見ていきましょう。
会計のプロだから期待出来る”業務の最適化”
経理作業を従業員に任せることで発生する大きな問題の一つに「属人化」が挙げられます。
「あの人がいないとできない・わからない」ということが多くなり、そのスタッフが退職してしまうと業務が回らなくなってしまうリスクが非常に高くなります。また、業務効率の改善やキャッシュフローの見直しなど、経営的な課題も残されたままとなります。
公認会計士事務所に経理業務代行を依頼することで、属人化した経理業務の整理や効率化などが実現できます。より効率的で会社の状況が把握しやすい会計システムの提案・導入など、経営にプラスになる支援も受けることが可能です。
税理士なら決算申告代行まで”まるごと”お任せできる
税理士に経理業務を依頼すれば、記帳代行や出入金管理といった日常的な業務はもちろん、決算書や税務申告書の作成も任せることができます。無資格でこれらの業務を行う業者も存在しますが、トラブルが起きた際に責任を負うのは依頼者です。
たとえば業者が誤った申告書を作成してしまったが故に、税務調査が入って追徴課税が生じた場合においても第一次で責任を追うのは事業者です。もちろん税務訴訟といった形で損害賠償を取ることは可能ですが、少なからぬ時間や手間が浪費されることとなります。そうしたリスクを回避するためにも、信頼性があるアウトソーシング先を選ぶ必要があります。
また、資格を保有している税理士が申告書を作成して「書面添付制度」を使って税務申告を行うことで再申告や税務調査が来る確率を下げられる、日常的に節税対策のアドバイスを受けられるなどのメリットも享受することができます。
本当の課題はコスト以外のところに隠れているもの
経理業務は利益に直結しにくいので少しでも安上がりな方法を選びがちです。しかし、金額だけ見ていては、その裏にあるリスクを見抜くことはできません。
公認会計士事務所や税理士事務所は相場としては高くなりがちではありますが、精確さや頼れる相談先としてそれ以上のメリットを得られる可能性も存在します。
公認会計士・税理士が在籍するシェア管理部であれば、日常的な経理業務代行はリーズナブルに、それでいて業務改善のコンサルティングや経営に役立つ経営資料の作成・報告、資金繰りや融資時期の相談なども可能。事業成長のために必要なサポートが充実しています。
ただ単に下請けとして経理業務を代行するだけではありません。シェア管理部では専門家が経営者さまのパートナーとして、共に成長を目指します。